山頂に着いたものの、目の前に広がっていたのは絶景ではありませんでした。
見えるのは、真っ白な霧ばかり。
娘と2人で、真っ白な霧の向こうを眺めながら、
「見て、この絶景!」
そう言って笑いました。
晴れていれば、遠くの山や街並みまで見渡せたのかもしれません。
その日は何も見えませんでしたが、不思議と残念な気持ちはありませんでした。
娘と一緒にここまで歩いてきたこと。何も見えない景色を、2人で笑えたこと。
私にとっては、それだけで十分な一日でした。

この記事でわかること
この記事では、次のことを紹介します。
- 退職後、娘と平日に高尾山へ出かけたきっかけ
- 登山初心者の私たちが無理なく楽しんだ過ごし方
- 食事や交通費を含む、2人分の実際の支出
- 家族と予定を合わせられるようになって感じた退職後の変化
- 絶景が見えなくても満たされた、退職後の時間の感じ方
高尾山の詳しい観光案内というよりも、50代で退職した私が、娘と過ごした一日の記録です。
きっかけは、昨年の上高地でした
2025年の夏、家族全員で上高地へ旅行しました。
自然の中を歩き、山や川を眺めていると、日常から少し離れられたような気持ちになりました。
自然の中にいるだけで、思っていた以上に癒やされます。
そのとき家族で、
「今度は山にも登ってみたいね」
と話していました。
それからしばらくたったある日、長女が急に平日休みになったと聞きました。
私も退職後で予定を合わせられます。
そこで軽い気持ちで、
「高尾山でも行ってみる?」
と聞いてみました。
断られるかと思っていたところ、娘から返ってきたのは、意外にもあっさりとしたOK。
「マジか。これは行かないと」
そんな勢いで、翌日の高尾山行きが決まりました。
大がかりな計画を立てたわけではありません。
予定が合ったから、ちょっと出かけてみる。
退職前には難しかった、そんな身軽な一日でした。
行きの電車では、親子そろって眠っていました
当日は朝6時過ぎに自宅を出て、電車で高尾山口駅へ向かいました。
高尾山口駅に着いたのは、午前9時30分ごろです。
親子2人の日帰り旅なので、車内ではいろいろな話をした……と言いたいところですが、実際はほぼ2人とも寝ていました(笑)。
早朝に家を出たこともあり、まだ体が起きていなかったのだと思います。
駅に着くと、娘と「高尾山に来たねー」と言いながら、駅前で記念写真を撮りました。
電車の中では眠っていたのに、現地に着くと、ようやく気持ちが旅モードに切り替わります。

鳥の声と霧雨の中を、無言で歩く
登りはケーブルカーを利用しました。
登山靴も履いていなかったので、本格的な登山をするつもりはありません。
ケーブルカーを降りてからは、初心者でも歩きやすいコースを使って山頂を目指しました。
当日の天気は霧雨。
雨具を着て、朝の細かな雨を浴びながら歩きました。
周囲から聞こえてくるのは、鳥の鳴き声や木々の音です。
娘とずっと話していたわけではありません。
むしろ、歩いている間は無言の時間が多かったと思います。
それでも気まずさはありませんでした。
鳥の声に耳を澄ませながら、同じ景色を眺め、同じ道を歩く。
会話がなくても、一緒にその時間を楽しんでいることは伝わってきます。
家族との時間は、たくさん話すことだけではないのかもしれません。
何も話さず、同じ場所を歩いていられる。
そんな静かな時間も、私には心地よく感じられました。
私は息切れ、娘は平然
自然の中を楽しんでいたとはいえ、山道を歩けば、当然ながら息も上がります。
私は途中から、しっかり登山をしている顔になっていました。
隣を見ると、娘はそれほど疲れている様子もなく、平然と歩いています。
同じ道を歩いているはずなのに、こちらだけ負荷が高い。
年齢差なのか、普段の運動量の差なのか。
おそらく、両方でしょう(笑)。
無理に急ぐことはせず、時々立ち止まりながら、ゆっくり山頂を目指しました。
50代になってからの山歩きは、速さを競うものではありません。
息が上がったら休む。
疲れたら歩幅を小さくする。
体力に合わせて進めば、それでも十分に山の空気を楽しめます。
「見て、この絶景」と言いながら、何も見えない
ようやく山頂に到着しました。
ところが、山の上は濃い霧に包まれています。
期待していた景色は、ほぼ何も見えません。
そこで娘と、真っ白な景色を前にして、
「見て、この絶景!」
と言いながら写真を撮りました。
心の目で見るタイプの絶景です。
天気が悪ければ、せっかく来たのに残念だったと思う人もいるかもしれません。
私たちは、何も見えない状況そのものを楽しんでいました。
晴れた日の高尾山とは、まったく違う景色だったのでしょう。
霧に包まれた山頂も、それはそれで少し幻想的でした。
何より、娘と一緒に笑えたことで、見えなかった絶景まで良い思い出になりました。

下山途中から、食べ物の存在感が増していく
山頂をあとにして、下山途中で温かいとろろそばを食べました。
霧雨の中を歩き、少し冷えた体に、温かいつゆが染みます。
山で食べる食事は、普段よりおいしく感じるものです。
特にその日のとろろそばは、歩いたあとの体にちょうどよく、一日の中でも印象に残っています。

その次に食べたのは、みたらし団子です。
しっかりそばを食べたあとですが、団子は別枠でした。

帰りはリフトを利用しました。
登りのケーブルカーとは違い、下りのリフトは足元がよく見えます。
開放感がある一方で、思っていた以上に高さを感じました。
正直に言うと、かなり怖かったです。
無事に下まで降りたあとは、カフェでコーヒーを飲みながら高尾山プリンを食べました。

高尾山へ登りに来たはずなのに、振り返ってみると食べ物の存在感がかなり強めです。
歩いた分以上に食べた気もしますが、こうした時間も日帰り旅の楽しみです。
高尾山の日帰り旅で使ったお金は、2人で11,440円
今回の高尾山で使った金額をまとめると、次のとおりです。
| 項目 | 2人分の金額 |
|---|---|
| 交通費 | 3,200円 |
| ケーブルカー・リフト(上り・下り) | 1,960円 |
| とろろそば | 2,400円 |
| みたらし団子 | 1,000円 |
| 高尾山プリン・お土産 | 2,880円 |
| 合計 | 11,440円 |
※2026年6月に、私たちが実際に支払った金額です。
交通費や食事、お土産まで含めて、2人で11,440円でした。
決して無料で楽しめる一日ではありません。
それでも、娘と日帰りでも旅のような時間を過ごせたことを考えると、私にとっては使ってよかったお金です。
退職後は、収入が減ることへの不安から、出費に敏感になります。
私自身も、健康保険料、年金、住民税など、支払うお金のことばかり考えてしまう時期がありました。
退職後に実際にかかったお金については、別の記事にまとめています。
▶ 50代・退職1年目のお金はいくら?生活費・健康保険・国民年金・住民税のリアル
節約することも大切です。
一方で、何のためにお金を残したいのかも、忘れないようにしたいと思っています。
だからこそ、家族との時間にお金を使えた日は、少しうれしく感じます。
退職後に増えたのは、家族と予定を合わせられる余白
今回の高尾山行きは、娘の急な平日休みから始まりました。
会社員だった頃なら、翌日に休みを取って出かけるのは簡単ではありません。
仕事の予定を確認し、周囲との調整も必要です。
結局は都合が合わず、
「また今度にしよう」
となっていた可能性もあります。
退職後の私は、娘の休みに合わせて動くことができました。
退職して増えたものは、単なる自由時間だけではなかったのだと思います。
家族の予定に、自分の予定を合わせられる余白。
誰かが「明日休みになった」と言ったときに、「それなら一緒に出かけよう」と言える余白です。
もちろん、退職後の生活には不安もあります。
お金のこと、健康のこと、これからの働き方。
考えることがなくなったわけではありません。
それでも、こうした小さな楽しみに動けることは、退職後に得たもののひとつでした。
絶景は見えなくても、娘と過ごした一日は残った
帰りの電車では、行きと同じく、娘と2人でほとんど寝ていました。
朝から歩いて、食べて、霧の中で絶景を想像して。
思っていた以上に体を使った一日だったようです。
帰宅すると、妻が、
「今度は女子会でどこか行こう」
と言い出しました。
娘と2人で出かけたのが、少し羨ましかったのかもしれません。
ごめんね(笑)。
山頂からの景色は、何も見えませんでした。
それでも、娘と一緒に霧雨の中を歩いたこと。
鳥の鳴き声に耳を澄ませたこと。
「見て、この絶景」と言って笑ったこと。
温かいとろろそばや団子を食べたこと。
そのすべてが、私の中にはしっかり残っています。
退職後の日々は、派手な出来事ばかりではありません。
家族と出かける。同じ景色を見る。一緒に食事をする。
そんな何気ない時間が、以前より少し大切に感じられるようになりました。
次は妻も一緒に、家族でどこかへ出かけたいと思います。
退職後に妻と出かけた熱海の日帰り旅についても、別の記事にまとめています。


